時節柄そろそろ手帳シーズンであり、あちこちの書店や文房具店で2012年版の手帳が並びだしています。
ステーショナリー好きとしては見て回るだけでも楽しいので、いい季節です。
そんな時流に乗る訳ではありませんが、今回読んだのはこちら「能率手帳の流儀」。
著者の野口氏(日本能率協会マネジメントセンター代表取締役会長)は能率手帳を販売する営業マンでありながら、30代まで手帳を使いこなせず1年通じてほとんど真っ白なままだったとか。
そんな著者が現在では1年間で2冊の手帳を使い潰すまでのへーユーザーになった経緯が、前半で体験談を交えつつ語られていきます。
中盤からは、能率手帳ならでは活用方法・仕事術を解説。
こう書くと、昨今はやりの夢をかなえる系・年収アップ系の手帳本かと思いますが、かなり趣は違います。
例えば
書店で見かける手帳活用本を読むと、だいたい「ToDoリスト」が出てきますね。やらなきゃいけないことを書き出そうというもの。これも大切なことですが、「ねばならぬ」的なことで手帳をいっぱいにすると、それにしばられて、けっこう気が重くなりませんか。とくに若い人は、リストアップする時点でめげてしまうのではないでしょうか。
このような感じ。
仕事術を解説しながらも従来とは少し違った目線で、独特の手帳術について知ることができます。
個人的に印象深いのは
手帳は「汚く」使う
手帳はきれに書くものという先入観をもっている人は意外に多いようです。子どものころから、きちんと、きれいに書きましょうと家庭でも学校でも教わってきましたから。しかし、こと手帳に限っては、これは三日坊主の原因です。そもそも仕事のスケジュールなんて頻繁に変わるでしょう。活字を埋めるように、きちんと時系列に書くのは現実的ではありません。
やりたいと思っていたことがいつまでも手帳に残っていると、振り返りのときにだんだん気になり始めます。
「なぜできないのだろう?」
「どうしたらできるかな?」
振り返ったら計画を立ててみましょう。計画するというと、ちょっと気が重いというみなさんも心配にはおよびません。「能率手帳の流儀」では、次の三つの点に注意すれば計画もかんたんに立てられます。
(一)綿密な計画は立てない
(二)遠大な計画は書かない
(三)「ねばならぬ」ではなく、「ああしたい。こうしたい」を計画する
このあたり。
ビジネス色の非常に強い「能率手帳」から内容を想像していると、かなり違った印象を受けると思います。
手帳によるスケジュール管理から、一歩飛び越えて、自分の成長のための手帳術が解説されています。
最後に締めとして引用されている哲学者セネスの言葉
【人生は使い方を知れば長い】
何度か読み返してみたいと思える一冊でした。
というか来年度の手帳選びに迷いそうです。