年末恒例の手帳シーズンはまだ続いています。
書店や文具屋さんの手帳コーナーはいつ行っても大賑わい。
たくさんのシステム手帳や綴じ手帳がある中、大きな書店であれば、ほぼ必ず1コーナーをさいて売り場が設けられているノートブックがあります。
My Messy Moleskine / Alexandre Dulaunoy
それは、伝説のノートとも呼ばれている【MOLESKINE】です。
現在では生産工場が中国に変更されているようで、イタリア製とよんでいいのかどうなのか微妙になっていますが、それでもいかにもヨーロッパ発といった雰囲気を持つ非常に人気のあるノートブックです。
日本では、何故かMAC、iPhone、iPadあたりを好む人達の間で人気があるというイメージ。
ただ自分の場合、机の上に180°開きっぱなしで置いておけないという時点でいつも購入の選択肢から外れています。
しかしその個性的な見た目と、語られれば語られるほど出てくる様々な逸話や伝説は面白く、常に興味はそそられていました。
ということで今回読んでみたのはこちらの本。
はじめに あなたの脳を拡張するノート
第1章 なぜ、モレスキンノートが選ばれるのか
第2章 モレスキンノートに人生を入れる
第3章 モレスキンノート「3ステップ活用法」
第4章 モレスキンノート「ビジネス活用術」
第5章 モレスキンノート「生活活用術」
第6章 モレスキンノート「DIYカスタマイズ術」
第7章 モレスキンノートと相性のいい文房具
あとがき
モレスキンに対する愛情が非常に伝わってくる内容です。前半はモレスキンとはどういうノートなのかが熱く語られ、後半は使用法というか様々な活用術、使いこなし術について解説されています。
手帳の活用法と聞いて、いわゆるhack系の手帳本を想像していると少し内容が違います。活用術そのものはその手のマニアにとっては特に目新しい事は載っていません。
GTDの考え方を基本にした手帳活用術なので、身も蓋もない言い方をすれば、別に特別モレスキンを使わなくてもできる事ばかりです。
スケッチをしたり、記録を残すのにイラストを多用するくだりなどは、どちらかと言えば【ほぼ日】を使った方がむいてるんではないかと思うほど。
しかし大事な事はそこではありません。
そもそもモレスキンを好んで使うタイプの人達は、上述したようにiPhone、iPadなどを使うタイプの人が多いため、いわゆるLife hackや手帳術などに関してはマニアと呼べる域の方々が非常に多いです。
いまさら一冊の本から、これまでになかった活用術を見いだそうとはしていないでしょう。
モレスキンにとって大事なのはその存在と伝説です。
モレスキンの紹介の際に必ず引き合いに出される、「200年の伝統」、「ゴッホ・マティス・ヘミングウェイ・ピカソなど20世紀を代表するアーティストや文豪が愛用していた」などの物語り。
正直なところ、製造工場が移転してからの製本の品質や、元々マニアの間で有名な万年筆との相性問題など、【最高品質のノート】かと言われればちょっと?が付くノートです。
紙質だけだと国産の数百円のノートが勝ってる部分も数多くあります。
(これについては、日本の文房具が値段の割りに質が良すぎるという面もありますが)
にも関わらず、この数千円するノートブックが売れ続けている理由はなんなのか、ずっと人気があるのは何故なのか、そこを考える事が重要です。
自身で商売をされている方であれば(士業含め)、こういった本を読みながら、むしろそちらの部分に目を向け、考えを巡らす方が有意義でしょう。
片方には一冊100円で売っているノートがあり、もう片方には2000円近い金額で売られているノートがあり、しかも品質や機能が最高峰のものでもない。
なのに何故その値段設定で成り立っているのか。
単なるモレスキンの初心者向けガイドブックと思って読めば、それだけで読み終えてしまう内容の本かもしれませんが、視点を変えて読み込んでみると全く違った知識を手に入れることができると思います。
むしろマーケティングの勉強になるかもしれません。