今年2012年10月1日より改正著作権法の一部が施行されました。
本来の改正著作権法そのものは2013年1月1日より施行となりますが、その中の「DVDリッピング違法化」や「違法ダウンロードに対して刑事罰が適用されるとする規定」などの一部が、先んじてこの10/1より施行された状態です。
元々2010年に施行された改正著作権法で、すでに「違法にアップロードされた著作物を、そうであることを知りながらダウンロード」する事は違法となっています。
しかし当時の著作権法においては、そのダウンロードの目的が私的使用であれば「刑事罰の対象」にはなりませんでした。
どういう事かと言えば、違法ダウンロードを行った場合であったとしても、著作権者から民事の損害賠償請求や差し止め請求をされる事はあっても、警察によって逮捕される事はなかったのです。
しかし今回の改正により、違法と知りつつ著作物をダウンロードした場合、私的使用目的であっても刑事罰の対象となります。つまり逮捕される事もある訳です。
これにより少しネット上が騒然としています。
なぜならば今までは、YouTubeに違法にUPされているPVをダウンロードしても、私的使用であれば逮捕まではされまなかったのです。しかし今後はいつ警察が家に来るかと怯えなければならなくなりました。
動画サイトの利用方法についても知識武装が必要な時代となったのです。
YouTube video Brandweer Nederweert / mauritsonline
某巨大掲示板のP2P系のスレなどでは、これを機に少しファイル共有を控えようとかしばらく様子を見ようとかいう声も出ていますが、それも少し間違いです。
2010年の著作権法改正の段階で、違法ダウンロードファイルの私的使用の場合は刑事罰の対象ではなかったのですが、ファイル交換の場合にはそもそも私的使用ではないので既に刑事罰の対象。
ただファイル交換ソフトの仕組みを考えると「P2Pソフト使用=私的使用ではない」と決めてしまうのもちょっとどうかなと思えるところもあります。
ただ現状そういう判断がされています。
つまり、今更P2Pソフトの使用を止めたところで遅いのです。
なぜならファイル交換をしている以上、2010年の段階からもうすでに刑事罰の対象となっていたので。だからここに来て「もうファイル共有は辞める」とか言い出しても、それによって何か状況が変わる訳ではないのですから。
本来であれば職業柄、今回の法改正について色々と論ずるべきなのかも知れませんが、この改正著作権法については突っ込みどころや不透明な部分も多く、長くなりそうなのでそれはまたの機会に譲ります。
というかまだきっちり条文に目を通しておりません。
でもかなり面白そうなのでいずれ記事にしたいと思います。
さて、ここまでが余談。
ブラウザCraving Explorerの開発方針が変更
YouTubeやニコニコ動画などの有名動画サイトから動画をダウンロードし、簡単にファイル形式を変換して保存できるCraving Explorerというブラウザがあります。
ダウンロード云々よりも、この「簡単にファイル形式を変換」出来るというところが非常に高機能なブラウザだったと思います。
そんなCraving Explorerですが、今回の著作権法改正を受け開発方針を変えるという事が開発者ブログにて発表されました。
少し抜き出します。
今後の開発方針について
Craving Explorerをユーザーの皆さんに問題なく利用して頂けるよう留意して開発を進めてきましたが、今後 Craving Explorer の提供を継続するにあたり、開発方針を変更させていただく事となりました。
現行バージョン(1.x系)で提供している動画保存に関連する機能については、今後提供するバージョン(2.x系)では実装せず、オンライン動画をより快適・便利に閲覧できるブラウザとして提供していくこととさせていただきます。(CEBarで提供している動画保存に関連する機能についても同様に終了の方向とし、別機能での連携を検討してまいります。)
現在公開中の1.x系(現時点での最新版 1.5.0)は、近日中にアップデートの停止、提供を終了する方針で進めます。当面の間、1.x系と2.x系は並行して公開する事になりますが、基本的には2.x系の利用を推奨いたします。
今後はダウンロード機能を省いたバージョンのみの開発が継続されるようです。
今回の改正著作権法により、動画サイトからファイルをダウンロードする事がまるで「悪」であるかのような印象を持つかもしれませんが、そんな事はありません。
当然違法でないファイルも沢山存在する訳であり、それらをダウンロードして保存しても何の問題もないのです。
そうはいっても、諸々考えた上での今回の決定となったのでしょう。
それにしても今回の著作権法の改正は、これからまだまだ混乱を呼びそうで興味がつきない限りです。