先日、といっても6/22の話なのでだいぶ前ですが、金融庁は金融機関が融資する時の連帯保証に関する監督指針を改正すると発表しました。

色んな方のブログなどでも触れられている内容なので今更ですが、つっこみどころというか疑問点が結構あったので少し。

Contract
Contract / Gunnar Wrobel

以下、毎日.jpより引用

金融庁:連帯保証を禁止…経営無関与の家族・知人

 金融庁は22日、金融機関が中小企業などに融資する際の連帯保証に関する監督指針を7月にも改正する方針を固めた。経営者の家族や知人らで、経営に直接関与していない第三者による個人連帯保証を原則禁止にする内容。第三者の積極的な申し出で、連帯保証を認める場合でも、その意思を事前に署名文書で確認するよう金融機関に義務づける。

 企業が倒産した時などに、保証人を引き受けた知人や親戚が借金を肩代わりする連帯保証には以前から批判が強く、同庁は東日本大震災前から指針改正を検討。震災で被災した債務者が破産した場合などに、連帯保証人への請求が頻発する恐れがあるため、改正の具体化を急ぐことにした。過去の債務については、今回の改正は適用されないが、金融機関が新基準に準じて連帯保証人への請求を配慮するよう促す。

 新指針で連帯保証の対象から外すのは、経営に関与していない家族、親族、先代経営者、仕事上の関係者ら。積極的な申し出があれば連帯保証人になれるが、その場合は書面による確認を徹底する。

 

まず、改正した内容についてですが

>経営に直接関与していない第三者による個人連帯保証を原則禁止にする

原則禁止=例外あり です。

ではその例外とは何かといえば

第三者の積極的な申し出で、連帯保証を認める

連帯保証人の方から「保証人になりたい」という申し出があればOK。
ではその意思確認はどうするかといえば

>その意思を事前に署名文書で確認

つまり、融資の申込みの際に必要書類が1枚増えるだけ。
これって何か意味があるのでしょうか?

「騙して連帯保証人にする」ということを一見防げそうな気もしますが、要は本人の意思確認の為の書類に記名押印さえすれば済む話。
融資を受けるためにどうしても連帯保証人がいなければダメとなれば、形式的な書類はどうとでもなるように思います。

貸す側の理屈からすれば、経営に関与してる人間を連帯保証人にするよりは、当然全く違う場所で収入のある人を保証人にしたがるでしょうし(共倒れを防ぐ為)、融資条件として暗にそれをほのめかされれば【第三者の積極的な申し出】が大量に発生するだけのことではないでしょうか。

金融機関側の考え方・態度次第になってくるとは思いますが、そもそもどうして融資の際に連帯保証人を必要とするかという理由から考えれば、今までの融資条件をすぐに変更するとは思えません。

必然的にこの改正は形骸化してしまうような気がします。

それから2段目について

>震災で被災した債務者が破産した場合などに、連帯保証人への請求が頻発する恐れがあるため、改正の具体化を急ぐことにした。

これについてはまあなんとなく状況はわかります。

しかし

>過去の債務については、今回の改正は適用されない

これはしょうがないと思うものの、それではあまり意味がありません。

>金融機関が新基準に準じて連帯保証人への請求を配慮するよう促す

法的な拘束力はなし。はたしてどうなるのでしょうか?