役所はだいたい平日の9:00~17:00頃までしか開いていません。
従って何かの届出や申請をする場合には、平日の日中に出向く必要があります。

これがなかなか普通の働いている人にとっては難しいところです。

car
car / Kentaro Ohno

郵送での申請や電子化が進めば、手の空いている時に色んな申請も出来るのでしょうが、まだまだ直接行かなければ受け付けてくれない手続きも結構あります。
警察署での車庫証明申請などもその一つ。

先週末頃のニュースです。

記事を読む限り総務省が警察庁に対して要請しているのは次の通り

  • 車庫証明の郵送申請を認めるように

  • 同じ場所で車を買い替える時は配置図も省略するように

以上の2点です。

普通車・車庫証明の郵送申請について

Snail Mail
Snail Mail / jaaron

普通車の車庫証明の郵送申請を認める理由として

手続きが似ている軽自動車の車庫届け出は郵送が認められており、総務省は「普通車も郵送を拒む合理的な理由はない」と指摘している。

とされていますが、このあたりは少し疑問です。

これでは全国で軽自動車の車庫について郵送届け出が可能のように見えますが、実際のところ軽自動車の車庫届も、郵送では受け付けず「窓口に直接来るように」としているところが多いです。

軽自動車の車庫届け出すら郵送で出来ない状態で、普通車の車庫証明申請の郵送申請を認めるのは無理でしょう。

郵送での届け出や申請を認めていない理由としては、やはり書類の不備に対する扱いが難しいからではないかと考えられます。

実際のところ、車庫証明申請の書類はそんなに難しいものではありません。

しかし、当事務所宛に依頼者から送られて来る記入済みの車庫証明申請書の中には、何度か電話などで確認や修正などをしなければ申請にはそのまま使えないようなものもそこそこあります。

難しくない書類だからといって、全てが完璧に作成されているかと言えばそうでない事も多いのです。

これには各都道府県によって微妙に記載の形式が変わっていたり、単純にうっかり等々の理由があるのでしょう。

窓口に直接来るのであれば、その場で説明や修正(印鑑を持参している場合)も可能でしょうが郵送であればそうもいきません。送り返すしかなく、その場合の説明も大変でしょうし対応しきれないのではないでしょうか。

またネットを利用した電子申請のシステムは、あるにはあるのですが色々と煩雑といいますかあまり使い勝手がいいとは言えません。
(なお、車庫証明単体での電子申請は出来ません)

使用率としては非常に低いのではないかと思います。正確なデータがありませんので、これについては推測ですが。

必要書類(配置図)の省略を可能に

Maps
Maps / nicolasnova

今現在では、車の買い替え等により同じ場所で車庫証明を申請する場合、所在図は省略してもよくなっています。
とは言っても地図を準備するのはそこまで大変な事でもありませんので、結局流れで地図も添付している事のほうが多いと思いますけれど。

それと同じような感じに、今度は配置図も省略できるように認める方向で総務省は要請しています。全く変わらない同じ物を提出する訳ですから、これは省略するならするで楽になるでしょう。

しかしどちらかと言えば、同じ場所で車庫証明を申請する時に省略して欲しいのは駐車場の使用承諾書の方です。

こちらは単に書類を揃えるだけならそこまでの手間ではありませんが、つきまとう「ハンコ代」の問題が非常に煩わしいのです。

でも使用承諾書の使い回しは、契約期間の問題もありおそらく無理でしょう。

これは仕方がないです。

郵送申請や電子申請などがもっと本格的に稼働するとすれば、圏外のディーラーさんなどをメインにしている行政書士事務所などは、車庫証明業務が減ることも考えられます。

おそらく車屋さんが直接車庫証明申請をするケースが増えるでしょうから。
(行政書士資格を持たない車屋さんが、車庫証明申請を代行していいのかという問題は一旦置いておきます)

しかし、現状を見る限り電子申請などは本格的に稼働する兆しすら見えていません。

既得権益にしがみついて稼いでいくというのも褒められた事ではありませんが、今のところは急いで対策を考えなくてもいいレベルだと思います。

というより今後もそこまで劇的な変化は起きないでしょう。

一時期、「電子政府を推進する」という国の方針があり、役所関係の手続きの電子化が推し進められました。ところが未だにそれらの移行はスムーズに行われていないのが現実です。

法務省オンライン申請システムなどは、もはや存在していません。
その理由はあまりにもオンラインで使われない手続きが多かったから。

アメリカのように、ネットと郵送でちょこちょこ手続きするだけで法人が設立できてしまうような状況になるには、日本では相当時間がかかるでしょう。
人(行政書士)の仕事が奪われるようになるのは、まだまだ先の話だと思います。

なお、上述した政府からの警察署への要請ですが、3ヶ月以内の回答が求められているそうです。
どのような回答がなされるのか少し楽しみなところです。