仕事柄、人名や住所などが記載された書類を作成する機会が多いのですが、その中でちょくちょく悩まされるのが同じ漢字なのに文字の形が違ういわゆる「異体字」です。
異体字は古い住所などにも存在しますが、特に戸籍上の人名において頻繁に見かけます。
Wordなどの文章作成ソフトで簡単に変換できれば問題ありませんが、異体字の種類は膨大な数があり、常用漢字以外を表示させようと思えばたいていの場合専用のフォントをインストールする必要があります。
↑しかしこういったフォントは非常に高価です。
フォントの作成には非常に手間暇がかかる上、購入される絶対数も少ないので、値段の下がる要素がありません。
困るのは、わざわざフォント集を購入するほど大量の異体字が必要ではなく、その一回、一文字だけ異体字で表示させたいような場合。
何故か結構慌ただしい時に限って緊急で必要になったりします。
あれは何故でしょうか。
その一度のためだけに1万円以上支払うのもちょっと無理があります。
しかし役所に提出する書類などは、同じ人名でも字体が違うだけで申請が通らなかったりする事もありますので、どの字体でもいいというわけにはいきません。
【樋】という字には点が一つのものと二つのものがある
先日あった話。
「樋口(ひぐち)」という名前によく使われている【樋】という字があります。
音読みで「トウ」、訓読みで「ひ」・「とい」と読みます。
名字でよく見る事がある漢字ですが、よく見るとこの【樋】という文字、しんにょうのような部分の上が点ひとつのものとふたつのものと2種類あります。
なおこの漢字の部首は「木(きへん)」なのでしんにょうではありません。
一見点が二つの【樋】の字の方が異体字っぽく見えますが、実はこちらの方が現在一般的にWord等の変換で表示される常用漢字で、
こちらの点が一つの【樋】の字が旧字体となります。
戸籍上の名前に使われている漢字が、後者の点が一つの方の文字である事も時々あります。というか先日ありました。そして同時に役所へ提出する書類に旧字体で表示させなければならないという事態も発生。
しかも結構バタバタしている最中に。
以下、その時対処した方法の覚え書きです。
以前に【西】の異体字をWordに表示させた方法とほとんど同じです。
ただあの時はOSがVista・Word2007という環境だったのに対し、今回はOSWindows7・Word2013という環境に変わっています。
グリフウィキからフォントをダウンロード
こういった時に本当に頼りになるのが「漢字字形自由共有サイト」のグリフウィキです。
早速GlyphWikiのサイト内で【樋】の字を検索。
【樋】の字のフォントにはいくつか種類があるようですが、今回はu6a0b-ue0100を使用しました。
→u6a0b-ue0100 (樋) - GlyphWiki
右端にある「一文字フォント」をクリックしてダウンロード
フォントがダウンロードされます。
任意の場所に保存。
フォントのインストール
※Windows7での場合です。
先ほどダウンロードしたu6a0b-ue0100.ttfファイルをダブルクリックします。
するとウインドウが開きますので「インストール」をクリック。
フォントのインストールが開始されます。
インストールが終了すれば念のため確認。
「コントロールパネル」→「フォント」。
インストールされているフォント群の中にu6a0b-ue0100があればOKです。
点が一つの【樋】をWordで表示
フォントのインストールが済めばWordで点が一つの【樋】を表示させます。
※Word2013の場合です。
まず「げた」と打ち込み
変換します。
そして選択し
フォントをu6a0b-ue010に変更
これでWordに点が一つの樋という字が表示されます。
ひとつ注意点。
このままWordファイルの状態で他の人に渡すと、相手方のパソコンにも同じフォントがインストールされていなければこの字体では表示されません。
点が一つの樋を表示させたまま他の人に渡したいのであれば、PDFファイルに変換してから渡すか、印刷して渡すようにしましょう。