「法務局でのOCR用紙の無料配布が中止になる」という噂を聞いたので調べてみたところ、どうやら本当のようでした。
上記ページより引用です。
現在,一部の登記所では,会社・法人の登記の申請について,「登記すべき事項をOCR用申請用紙に記載して提出する方法」を取り扱っておりますが,今後,順次OCR用申請用紙の配布を終了していくこととなりましたので,お知らせいたします。
今後は,「登記すべき事項をオンラインで提出する方法」を御利用いただきますよう,よろしくお願いいたします。
なお,現在,登記すべき事項を登記申請書に直接記載されている方,又は電磁的記録媒体(CD-R,FD)に記録して提出されている方におかれましても,「登記すべき事項をオンラインで提出する方法」には以下のようなメリットがありますので,是非御利用いただきますよう,よろしくお願いいたします。
順次終了という事は、今ある在庫がなくなればもう用紙自体を作成しないのでしょう。
そもそもOCR用申請用紙は二度手間
OCR用紙とは、法務局に電磁的データとして記録(登記)される内容である「登記すべき事項」を記載する用紙で、別紙などとも呼ばれるものです。
法務局への商業法人登記申請の際に申請書に添付して使用されます。
ただ、法務局へ提出されたOCR用紙はその名前のごとくOCR処理をされ電子データとなって法務局に保存されます。そしてOCR用紙を印刷する際に使用されるのはたいていWord等のワープロソフト。
ということは
Wordなどで印刷用電子データ作成
↓
OCR用紙に印刷
↓
法務局へ提出
↓
OCR読み取り
↓
電子データとして保存
という経路を辿る事になり、どう考えても間に抜いてよさそうな行程が含まれています。なんだか似たようなものがあったようなと思っていたのですが、書籍の自炊も同じような感じでした。
印刷用原本データ作成
↓
印刷、製本
↓
書店で購入
↓
裁断、分解
↓
スキャナーで取り込み
↓
自炊電子書籍完成
以上の経路と酷似。
どう考えても間の「印刷する→印刷したものを読み取る」という部分が余計です。
もちろんこの「登記すべき事項」の電子データは必ずOCR用紙に印刷しなければいけないものではなく、txtファイルなどでCD-RやFDに格納して登記申請時に添付する事も可能です。こっちの方がOCR用紙に押印しなくてもいいのでちょっと楽。
そんな事もあってか、昔は法務局のホームページに置いてある登記申請書の雛形には「登記すべき事項 別紙の通り」となっていたのがいつの頃からか「登記すべき事項 別添CD-Rの通り」と変更されていました。
(※注 商業登記の場合です。他の登記については確認していません。)
そもそも電子化を推し進める方向にある法務局としても、あまりOCR用紙の使用には積極的でなかったのでしょう。どう考えても二度手間ですし。それにOCR用紙の読み取りは必ずしも100%正確ではありませんので、結局人の手が必要となる場面が多かったのではないかと思われます。
法務局によっては光学器械がなかったり等の理由で、OCR用紙を見ながら手入力というところもあったらしいです。登記事項が膨大な登記申請だったりするとかなり大変そう。
電子申請やオンライン手続を利用すれば最初からOCR用申請用紙はいらない
登記申請そのものをオンラインで行う電子申請の場合も、OCR用紙を印刷する必要はありません。電子データのままオンラインにのせてしまえばいいだけです。
上記の法務省のページでは、今後は「登記すべき事項」をオンラインで提出する方法を勧めています。この方法は平成23年8月から可能になりました。
ちなみにちょっとややこしいですが、「登記を電子申請で行う」と「登記すべき事項をオンラインで提出する」は意味というかやっている事が違います。
「登記すべき事項をオンラインで提出する」場合では、登記申請書は別途法務局へ提出する必要があります。
詳しくは
→法務省:登記・供託オンライン申請システムによる登記事項の提出について
自分の場合は、登記申請をお願いする司法書士の先生方がわりと電子申請で対応する人が多く、おかげでかなり長い間OCR用申請用紙の印刷というものをした事がありません。必要であれば「登記すべき事項」をtxtファイルで作成し、司法書士さんへ渡すだけでした。
その為、この件についても感想としては「あぁ、そうなったんですね」ぐらいしかないといったところです。
印刷物は減った方が何かと楽なので、これは良い傾向なのではないでしょうか。