株式会社の設立の際に、作成した定款を公証役場にて認証してもらう「定款認証」という手続きがあります。
定款を紙ベースで作成する場合と電子データで作成する場合があり、電子データで作成する場合を「電子定款認証」と呼んでいます。
電子定款にする方が費用がかなり安くなりますが、それなりにソフトウェアなどを揃えておかなければなりません。
その為、この電子定款認証のみを依頼されるお客さまも結構多いです。
紙ベースで定款を作成する場合は、委任状と定款3通を持って公証役場に行き、認証手続きをしていましたが、電子データの場合はオンラインで電子申請をする事になります。
しかしネット上のやりとりだけで全てが終わるという事はなく、オンラインで申請をしてから認証済みの定款データを受取りに、最後は公証役場へ行かなくてはなりません。
(厳密に言えばこの受取りの手続きをもって「認証」という形になります。)
これは郵送等では無理で、必ず誰かが公証役場へと足を運ぶ必要があります。
自分の場合は事務所が大阪にありますので、大阪の公証役場で認証するのであれば直接足を運んで受取りに行けます。しかし他府県の公証役場の場合には、なかなかそうはいきません。
そういった時には誰か代わりに行ってもらう事になります。
元々定款認証の代理を発起人より依頼されている状態なので、そこから更に別の人に受取りの代理、つまり復代理人を立てるわけです。
この復代理人は発起人や何らかの資格者である必要はありませんので、誰がやっても構いません。
紙ベースでの復代理の委任状
こういった時(電子定款認証)の復代理人への委任状の雛形というか様式は、大体こんな感じです。
委 任 状
(住所)○○○○○○○○○○○○
(氏名)○○○○○○○○○○○○
私は、上記の者を代理人と定め、次の権限を委任します。
記
1.株式会社○○○○の電磁的記録による原始定款の電子署名を自認して公証人の認証を受け、かつ、同一情報の提供(謄本)2通を請求及び受領すること。
平成○○年○○月○○日
(氏名)行政書士 □□□ (印)
(登録番号 □□□□□□□□□号)
これも別に決まった様式があるわけではありませんので、大体の内容が書いてあれば大丈夫。
通常はこの復代理の委任状に行政書士が押印し、個人の印鑑証明書を添付します。このことからわかるように行政書士の「住所」欄は、事務所の住所ではなく印鑑証明書記載の住所を記入します。
また押印する印鑑は職印ではなく実印です。
紙で復代理の委任状を作成するのであれば、↑この委任状+行政書士の印鑑証明書を持って、その他の必要書類とともに公証役場へ認証済み定款データの受取りに行ってもらう事になります。
電子ファイルで復代理の委任状を作成
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ただこのように紙ベースの委任状では、数が多くなってくれば印鑑証明書を揃えるのが結構大変になってきます。地味に費用もかかる上、市役所に足を運ばなければならないので時間的にも好ましくありません。
そんな時には、この復代理の委任状そのものを電子データにしてしまうという方法があります。
やり方は簡単です。
上記↑の復代理の委任状をPDFファイルにし、それに電子署名をするだけです。
あとはその電子委任状をCD-RやFDに入れて公証役場へ持って行くか、もしくはメールにて直接公証役場へ送付する事もできます。
ただしこのあたりについては、公証役場によっては対応や方法が違う事もありますので、事前に要確認。
なお、この復代理の委任状へ付与する電子署名は、必ず認証する定款データへ付与した電子署名と同じものでなければなりませんので、注意が必要です。
紙の委任状だと個人の実印が必要なのに、電子委任状だと何故行政書士の電子署名でいいのかとか考え出すとこんがらがってくるので、ほどほどにしておきましょう。