仕事柄、各種役所に提出する書類を見る機会及び作成する機会というのが多いわけですが、それらの書類に必ずつきものなのが「印鑑押印」です。

日本ではどちらかというと自筆のサインより印鑑の方がありがたがられる傾向にあり、業務によってはただひたすら関係者から押印と署名をもらいにまわるだけの仕事なんていうのも存在します。

まあその印鑑ひとつ押してもらうのがとんでもなく大変だったりするわけですが。

Red-Gold Matrix Emperor FPc
Red-Gold Matrix Emperor FPc / 76Winger

とはいえ、世の中はなんとなく電子化の方向へと進んでいます。
役所関係の申請も直接足を運ぶのでは無くネット上で電子申請できるものが増えてきました。

そういった電子申請の場合、作成されるのは紙の書類ではなくPDFファイルなどの電子データとなります。当然これらには物理的に「ハンコを押す」という作業を行う事ができません。

そこで登場するのが電子的にデジタルデータへ押印してくれる電子署名です。なお印鑑証明書の代わりのデジタルデータは電子証明書と呼ばれます。

電子署名をするだけならそれ用のソフトウェア使うだけで簡単ですが、公的にその署名の内容を保証してくれるのが電子証明書、といったような扱いです。

士業にはそれぞれ専用の電子証明書があり、もちろん行政書士にもあります。
2014年現在のところ、行政書士が使用できる専用の電子証明書は「セコムパスポート for G-ID」。

※市役所などで作成できる公的個人認証サービスの電子証明書も業務内容によっては使用できますが、ややこしくなるので今回の話は行政書士用の電子証明書のみについてになります。

行政書士用電子証明書には有効期限がある

この行政書士用電子証明書は無料ではありません。
期間に応じて料金がかかります。
行政書士電子証明書 |【セコム】

期間と金額は以下の通り。

  • 2年 15,120円(税込)

  • 3年 22,680円(税込)

それぞれの期間に応じた電子証明書を購入し、その期間証明書が有効となるわけですが、今回の話は有効期間が過ぎた後の更新手続きについて。

例えば2年有効な電子証明書を購入した場合、発行日より2年が経過するとその電子証明書は無効になります。当然仕事で使う場合は継続利用が必要な事が多いので更新するわけですが、これらの電子証明書は継続利用する時でも更新ではなく新規申し込みという形になります。

電子証明書の有効期間は継続利用の場合でも自動的に継ぎ足されるという事ではない

継続利用するので新規申込?をする場合、気になるのが新しい電子証明書の有効期間はいつから開始になるのかという点です。

一番ベストなのは今使っている電子証明書の有効期限が切れたと同時に新しい電子証明書が発行(開始)されるという形です。
これならば電子証明書を有効期間のなかで無駄なく使いこなせます。

例えば車の免許証やサーバー契約などは、継続して更新する場合自動的に今までの契約期間が終了した時点から新しい契約期間が始まります。
更新や入金の手続きを新しい契約期間が始まるより前に行っていてもです。

ではこの電子証明書はそんな感じに自動的に有効期間がつながっていくのかといえば、そんな事はありません。例え継続更新であったとしても新規申し込みと同じ扱いになりますので、その新しい電子証明書の発行日が次の有効期間の開始日となります。

その場合、証明書が使えない期間があると業務に支障をきたす可能性がありますので、今の電子証明書が有効な間に次の証明書を申し込み、かつ発行してもらわなければなりません(発行日をこちらからコントロールできないので)。

すると当然ながら二つの電子証明書の有効期間がかぶる時期が存在しますので、更新を繰り返すとちょっとずつ次の更新までの期間が短くなっていくのではないかと考えてしまいますが、そうではなく、それに対しては猶予期間のようなものが設けられており対処できるようになっています。

注意

なお申込時の注意書きにも書かれていますが、上記のような事情により現在使用中の電子証明書の残存期間が大量に余っている場合でも新しい電子証明書は発行できてしまうので、場合によってはものすごく勿体ない事になる可能性がありますので注意が必要です。

電子証明書の有効期間には1ヶ月プラスされるのでその間に手続きをする

本来、行政書士用電子証明書「セコムパスポート for G-ID」の有効期間は上記したように2年か3年です。でもその期間が過ぎてもそこから1ヶ月多く利用ができるのです。

例として。
「セコムパスポート for G-ID」は有効期間が終了する45日前に有効期限についてのお知らせメールが届きます。

ちなみにその前の「ビジネス認証サービス電子証明書」の時代は60日前・40日前・20日前の3回くらい案内のメールが届いていました。

その届いたメールの中に現在使用中の電子証明書の有効期限が記載されています。

このメールの文面を見るとわかりますが(これは有効期限が3年の電子証明書)、証明書発行日が2011年8月10日になっていますので,
本来の有効期限は2014年8月10日のはずです。
でも有効期限は9月9日までになっています。

このように本来の2年や3年といった期間に加えて1ヶ月余裕をもらえますので、その間に継続利用するのであれば新しい電子証明書の申し込みと発行までを済ませておけばいいというわけです。

この1ヶ月というのは単なるボーナスステージみたいなものなので、この間に二つの電子証明書が重複して有効な期間がありますが、さすがにそこまでケチ臭いことはいわなくてもいいでしょう。

有効期間は2年を選ぶか3年を選ぶか注意が必要

このあたり切り替え手続きや、また行政書士用電子証明書を手に入れてからの電子定款用の再設定などは結構面倒なので、2年ごとではなく3年有効な電子証明書を選べばいいかと考えがちですが、それにも少し注意が必要です。

行政書士用の電子証明書は申し込みの際に事務所の住所を登録し電子証明書内に記載される事になりますが、電子証明取得後はその有効期間中に証明書に記載された事務所所在地を変更する事ができません
事務所所在地の変更|FAQ【セコム】

事務所所在地が変更した場合には新しい電子証明書を取得する必要があり、それには再び新規料金がかかります。残存期間が残っていたりすると結構もったいないです。

従って3年間絶対に事務所の住所が変わらないのであれば有効期間3年の電子証明書で構わないですが、不明な場合は有効期間2年の電子証明書(そういった意味では1年というものもあっていいよな気がしますがありません)にしておいて、2年ごとに更新する方がいざという時ダメージが少なくてすみます。

有効期間が2年の証明書も3年の証明書も年数で割ると単価は一緒です。
(これもどうかと思いますけれども。普通は長期契約するほど割り引くものじゃないの?という気がしなくもありません。)

単価が同じなので2年ものにするか3年ものにするかはあとはそれにかかわる手間暇の問題です。上記のような事も考慮しつつ判断すべきでしょう。