コロナ禍の中で、経営不振に陥っている観光業界に支援の手を差し伸べるべく始まったGo Toトラベル事業。

感染者の数が日々増加傾向にあるなか、賛否両論あるものの、普段に比べて比較的安く旅行が出来るようになりますので、需要喚起に一定の効果は生み出しているようにも思います。

Go Toトラベル事業とは

Go Toトラベル事業が具体的にどういったものなのか、簡単にまとめると

  • 国内旅行を対象に、宿泊・日帰り旅行代金の2分の1相当額が支援される。

  • ただし、その給付額のうち7割が旅行代金として、3割が地域共有クーポンとして付与される。

  • 支給される金額の上限は、一人一泊あたり2万円。日帰り旅行であれば1万円が上限。

  • 連泊や、日にちを開けての複数利用可能。

というものになります。

元々は8月上旬頃に開始する予定で現場では進められていたようですが、突然、国の上のほうで急に7月下旬から前倒しで開始することになったらしく、このキャンペーンが開始された7月22日からしばらくの間は、バタバタでした。

その時点ではGo Toトラベルキャンペーンの公式サイトもまだ公開されておらず、もちろん現地の宿泊施設ですらどう対応していいのかわからないといった状況。ちなみに公式サイトが公開されたのは7/27です。

上の気まぐれによって現場の人間が大混乱に巻き込まれ、しかしそれを最前線の人間が気合いでどうにか辻褄を合わせてしまう(合わせらるだけの能力がある)、まさにこの国の縮図を見るような現状でした。

なお、このキャンペーンの主催は観光庁なので、国土交通省管轄の案件になるかと思います。ちなみに旅館業許可のようにホテル・宿泊施設を管理(許認可の申請先)するのは保健所、つまり厚生労働省です。

「旅行業界」なのか「ホテル・宿泊業界」なのか、このキャンペーン事業がどこから働きかけがあって動き始めたものか、大体わかりますね。政治の世界の力のうねりが垣間見えます。

業界が困っている時に、政治家の先生に動いてもらうのは何ら悪いことではありません。その為に、普段から選挙シーズンにお手伝いをするのですから。

事後還付申請(キャッシュバック)手続きについて

この記事を書いている時点(2020/8/15)では、Go To トラベルキャンペーンは稼働し、ホテルや旅行業者側も対応(7/27から)しているので、最初からキャンペーンが適用された割引料金で旅行・宿泊することが出来るようになっています。

しかしそれ以前、例えば7/22直後などに宿泊していた場合は、このGo To トラベルキャンペーンの支援を受けない、割引されていない料金で宿泊していることになります。

その場合は、宿泊した旅行者自身が「事後還付手続き」によって、支援分の旅行代金の還付申請を行うことが出来ます。要するに後からキャッシュバック。

このように割引価格での旅行商品の購入ができなかった旅行者については、7月22日(水)~8月31日(月)までの旅行について、旅行後に割引分を還付申請することが可能です。

この還付申請が申請可能になったのは、昨日8/14から。
還付請求の申請期間は、2020/8/14~2020/9/14の間のみとなっています。

今回は、ちょうど7/25に旅行で宿泊されたというお客さまより依頼があり、この「事後還付手続き」の申請を行ったので、その手順メモです。

手続き開始にあたって

還付申請手続きは旅行者向けの公式サイトから行います。
旅行者向け Go To トラベル事業公式サイト

基本オンライン申請ですが、どうしても無理な場合は郵送での申請も可。
ただしオンラインでの申請を推奨とのことです。

なお、この還付申請をすることの出来る旅行者の条件は下記の(1)の条件を満たし、加えて(2)か(3)かどちらかの条件を満たしている場合です。

  • (1)7月22日(水)以降に開始し、8月31日(月)までに終了する旅行であること

  • (2)旅行業者を通じた予約で、旅行前に支払った場合
    ①Go To トラベル参画事業者として登録を受けた旅行業者から購入したものであること
    ②宿泊を伴う旅行の場合には、 Go Toトラベル参画事業者として登録を受けた宿泊施設であること

  • (3)宿泊施設へ直接予約手続きを行い、宿泊施設で支払った場合、または予約サイト等で予約手続きを行い、宿泊施設で支払った場合は、
    その施設が、Go Toトラベル参画事業者として登録を受けた宿泊施設であること

もちろん、あらかじめGo To トラベル事業による支援額(旅行代金の35%相当分)を割り引いた価格で購入した旅行者は、事後還付手続きの対象外となります。

ちなみに今回の申請者は、

  • 旅行業者を通さず、直接宿泊施設に予約して宿泊

  • 宿泊施設は、GoToトラベル参画事業者として登録を受けている

  • 宿泊した期間は7/25~7/26

というような条件でした。
上記で言えば、(1)と(3)を満たしています

ところで、還付手続きの手引きを見ていてちょっと悲しいのが、東京を除外するこの一文ですね。仕方がないといえば仕方ないのかもしれませんが。

公式サイトの説明を読んでいると、15%・35%・60%・70%など様々な数値が出てきてややこしく感じるかもしれませんが、申請において金額がいくらか等を打ち込む場面はなく、全て役所側で計算してくれます。

ですので、申請するにあたって数字の事は一切考えなくても大丈夫。

宿泊施設がGoToトラベル参画事業者か確認

ホテル・旅館などの宿泊施設に直接予約して宿泊した場合、還付申請をするためにはその施設がGoToトラベル参画事業者として登録を受けている必要があります。そうでなければ、そもそもGoToトラベルキャンペーンの適用を受けることが出来ません。

逆に、GoToトラベル参画事業者として登録を受けていれば、民泊施設(簡宿・特区民泊・民泊新法全て含む)であっても、このキャンペーンの対象となります。

宿泊した施設が登録事業者かは、こちらのページで確認できます。
対象の事業者を探す

上記の「宿泊事業者一覧はこちら」のリンク先にあるPDFファイルに宿泊施設の事業者が掲載されていればOK。

なお、旅館名と事業者が違うことは多くあり、また、ホテル・旅館のある住所とそこを運営している事業者の本社がある住所が違うこともよくあるので注意が必要です。

ちなみに今回のケースでは、宿泊施設は兵庫県でしたが、運営会社は大阪にあり、会社名とホテル名が全く違うものでした。
とはいえ、そこのホテルのホームページへ行けば、GoToトラベルキャンペーンに参画していることが大々的に掲載されていたので、そちらでまず目処をつけておくのがいいと思います。

還付申請の事前準備

この還付申請は、申請手続きそのものはあまり難しくありません。
事前に必要な書類(紙のものも電子データ化しておく必要があります)をちゃんと準備しておけば、問題なく進められるでしょう。

必要書類は、公式サイトのトップページを下にスクロールしていったここにあります。ここからダウンロードして記入。

上記のうち記入が必要なのは、「A 事後還付申請書(様式第1号)」、「D 口座確認書(旅行者用)(様式第2号) 」、「G 同行者居住地証明書(様式第21号)」の3種類。

「B 支払内訳がわかる書類(支払内訳が記載された領収書、支払内訳書等) 」「C 宿泊証明書(氏名、宿泊日、宿泊人数などの情報が記載されているもの) 」については宿泊施設からもらう事になります。

今回のケースでは、この2種類は事前に用意できていたので問題ありません。

宿泊証明書

宿泊時の領収書

あと、「E 口座番号を確認できる書類(通帳の写し、キャッシュカードの写し等)」「F 代表者の住所が確認できる書類(免許証の写し、健康保険証の写し等)」については、申請者の運転免許証と還付金を振り込んでもらう通帳をスキャンするなり写真で撮るなりして電子化しておけばOK。

申請手続きを進める

必要書類が準備できれば申請手続きを進めていきます。

「オンライン申請はこちら」をクリック

オンライン申請画面が表示されます。

この申請では、これ以上入力ページはありません。この1ページ内の必要箇所に入力が済めば送信して申請完了です。

入力内容も、上記で揃えた書類に記入したものをほぼそのまま入力していけばいいので、持続化給付金からこのかた散々電子申請をしてきた人からすれば、慣れたものでしょう。

なお、施設の入力に関してはこのように「1施設目」「2施設目」「3施設目」というように、3つの宿泊施設まではまとめて入力できるようになっています。

それから少し気になったのは、「E 口座番号を確認できる書類」と「F 住所が確認できる書類」のファイルのアップについて。

ここは要するに通帳のスキャンデータと身分証明書(運転免許証等)のデータを添付すればいいというのはわかります。

ただ、持続化給付金であったり家賃支援給付金であったり、今までのその他の申請では、通帳の表紙+1・2ページ目が必要な場合と、通帳1・2ページ目だけでいい場合など同じ通帳でもアップが必要なファイルに違いがあります。

運転免許証でも、基本的に表・裏の2つのファイルが必要なはず。
そのあたりに関して何も説明がなかったので、今回の申請ではとりあえずファイルを結合して複数のファイルをまとめて添付しました。

入力や添付が終われば、一番下にある送信をクリック。

確認画面が表示されます。

問題なければ送信をクリック。

完了画面が表示
これで申請手続きは終了。

申請完了

入力したメールアドレス宛に受付メールが届きます。

還付金については、申請受理後2か月程度で振り込まれるとのことです。

なおGo To トラベルキャンペーン自体は、大体半年を目処に継続されるようですが、予算が尽きた時点で終了という話です。